15日の夜。西横山の小正月はいよいよクライマックスを迎える。子どもたちが集めてくれた焼草と正月飾りを燃やす火祭りだが、道祖神信仰である西横山のサイノカミには、もうひとつの意味合いが潜んでいる。それはオオマラである。サンスクリットに語源があるこの言葉は男性のシンボルを指すのだ。頭のおおは間違いなく「大」を意味し、子孫繁盛の願いが込まれているだろう。たしかに、田んぼの真ん中にどうどうと立っているオオマラは男性の象徴に見える。それに、田んぼ。少なくても欧州の文化では、田や畑は女性の子宮に喩えられ、そこからすべてが生まれれてくるという思いは随分と根強い。田に種をまくというのは、農耕民族にとって性行為と同じものであった。
今日に至っても、村の男性陣は松明を振り回して「オーマラ、オーマラ」と叫びながら叩き合う。日常から脱線し、雪原を走り回りながら開放されているって感じ。暗い夜に明るい火。なんだか神秘的だ。別世界にいるような気分。叩かれた後に目の前を飛んでいく火花も天の川のようだ。火傷もまた男の勲章。
最後には、点火し、スルメイカを焼いて食べるなど、ほかの地域と大して変わらない光景。でも、耳の中ではまだまだ「オーマラ、オーマラ」と響いている。
写真・ビデオ撮影:niko
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