まずは、8月に入ると、穂がでる。ほんとに心配してたんだけど、出るかなあ、と。だが、穂って必ず出るんだ。稲の発育がどんなに遅くても力絞って穂を出す。僕らみたいなダメな農民でも、稲はがんばってくれる。白い花が咲いて、いいにおいが漂ってくる。穂が出た!
ただし、穂は出ると、草取りができなくなる。穂に傷つけてはいけないし、稲自体も大きくなっているので、田んぼにはもはや入れないから。それで、それまで戦っていた雑草たちも元気になって、知らん顔しながら、みるみる大きくなっていく。そして花を咲かせるのは、稲だけでなく、コナギも、他の雑草も。考えたら、可愛いらしい花だが、なんだかむかつく。おまんのためにこの田んぼを耕したわけじゃないぞ、と。でもいくらぶつぶついっても稲の下に雑草の絨毯ができちゃう。お薬使わないもんだから…
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