キリスト教徒の割合が1%前後であるという日本にきてから僕の中にあるバレンタイン像は大きく変わった。まず、男性じゃなく、女性がプレゼントをあげる。それに、そのプレゼントとは、なんとチョコなのだ。不思議だと思ったら、もらったチョコをついに握っていた。そのチョコは、愛情をこういう風に表現したく、僕と付き合いたい子からのプレゼントじゃなかった。そのとき、僕はすでに結婚していたし…とはいっても、嫁っこからのものでもなかった。同じ研究室の人からもらった、日本でおなじみの義理チョコだった。もらった瞬間の戸惑いを今も憶えている。どう答えたらいいか、嫁っこに何も言わず、隠したほうがよいのか…本当に困っていたのだ。まさかのカルチャーショック!
後から知った。日本のバレンタインというのは、愛とかとは基本的に関係ないね。友チョコだってあるし、自分から自分へと…わけ分からない贈り方もあるようだ。重要なのは、チョコなのだ。チョコの製造者の快挙だ。全国にうまく広め、みんなをうまくつかんだなぁ。有名な菓子屋さんでさえ、バレンタインのときは安っぽいチョコレートを堂々と出したりして…バレンタインというシールを張っとけば、間違いなく売れるだろうと。聖バレンタインの「聖」は、どこへいったのか、この祭祀のもともとの意味はどこへ消えたか。外国の文化を受け入れながらも、それをうまく日本の風土に合わせるといった特徴が背景にあるとは思えない。チョコレートを作っている企業たちのうまい戦略にほかならない。うまい戦略なら、せめてうまいチョコも出しておくれ!
…とぶつぶついいながら、今年も手作りのチョコを美味しくいただいた。愛情もたっぷり入った。だといいんだけど… (*_*;