友人のお家は山の奥にある。川が流れる小さな谷。冬になると、雪に閉ざされてしまうような場所。除雪されていないので、冬季は里に下りている。今年の積雪が少し気になって屋根にのしかかっている雪で家がつぶれたのでは、という心配もある中、2人で山に入った。僕は、この間作った山かんじきを履き、彼はテレマークだった。峠を越えてお家のある谷までおよそ6キロの距離。まあ、汗かいた。峠にたどり着いたころには背中から湯気がホッポッと出ていた。かんじきを脱いで今度はスキーに履き換えたが、登りも降りもすいすいといけるテレマークがうらやましかった。自分で作ったかんじきというプライドがあっても、その日だけはテレマークがほんと欲しかったんだ。だって、待ち望んでいた峠からお家までのなだらかな坂でさえ、スキーをちっとも活かせなかった。前の日に新雪が積もり、当日は気温が高く、なんとも言えない雪質だった。見事に滑れなかった!
家の一階はまだ雪に埋もれ、屋根にも雪がたくさん残っていた。ただ、川が元気に流れていて、日差しのいいところには、ぼちぼちとふきのとうが顔を出し始めているという感じだった。ウサギたちの足跡はあっちこっちにあったけど、山はとっても静かだった。暖かい日差しを浴びながら雪下ろしを始めた。重たくて湿った雪を少しづつ少しづつ...スコップ一つ一つが重たくて...屋根にのっかってた雪の重さを考えてみると、よくぞ耐えた!よくぞ建てた!としか思えない。感動した。だって本当に重いんだ。越後の雪ってやつは... 作業を終え、これでまず一安心だろう。
帰りにかんじきの縄が少し水分を吸って緩んでしまったけど、大して沈まずに峠まで着いた。そこからはまたスキー出番だ。普通の板なので(しかし、今思えば、リュックに入っていたブーツが重たかったなぁ)、急な斜面でも大丈夫かと思いきや、この雪じゃ無理!滑れることは滑れけど、曲がれない。アルプスなどで滑ってきたもんだから、自信があったけど、圧雪されたところじゃなく、しかもこの重たい雪ではとっても無理だった。板が完全にはまっている感じ。深いところに入ると、速度が急に落ち、引っ張られているような感じだった。この感覚をつかむまで(いや、まだ全然つかんでいないけど)、2回くらい転んでしまった。まるで”初めてのスキー教室”のようだった。(笑)
やあ、楽しかった。